パティシエエスコヤマ研修旅行記2017

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Vol.11 5月14日 5日目:ボルケーノワイナリー WRITER:大内 未来

今回、ワイン工房「ボルケーノワイナリー」のレポートを担当させて頂きます、営業企画本部の大内未来です!どうぞ宜しくお願い致します。

ハワイ島2日目。
私達が今回泊まったのは、ハワイ島の東海岸にあるヒロという地域です。オアフ島に比べて肌寒く、朝晩は半袖では少し寒いぐらいでした。またヒロは北東から南西へ吹く風の影響で、ハワイ島の中でも雨が多く降る地域です。この日も朝方まで雨が降っていましたが、出発の時間には雨は上がり、晴れ間が除いていました。
この日の集合時間は朝8時半!10分前にはぞくぞくとスタッフが集まりだしました。
全員揃ったところで出発です!!

今回の訪問先は、名前の通り、火山の麓にあるワイン工房、「ボルケーノワイナリー」です。
ハワイ島は、5つの火山をもつ島なのですが、今回訪れたボルケーノワイナリーは、ハワイ島で唯一の世界遺産であるキラウエア国立火山公園の近くにあります。

私たちもワイナリーに向かう途中、トーマス・ジャガー・ミュージアムの展望台に寄り、キラウエアの火口を見学しました。

バスを降りるとまず目に留まったのは、キラウエア火山の地域でしか見ることが出来ないといわれている「オヒアレフア」の木です。とても可愛い真っ赤なお花が咲いており、印象的でした。

そしてさらに奥に進むと火口が見えてきました。

あいにくこの日はマグマを見ることは出来ませんでしたが、火口からは噴煙が立ち上り、周辺からも煙が立ち上っていました。改めて自然の偉大さと、ハワイ島が活火山の島であることを実感しました。

そして再びバスに乗り込もうとすると、、、
私たちのバスの運転車、ボビーさんがウクレレを弾きながらお出迎えしてくださいました♪

通常のウクレレは4本の弦からなりますが、ボビーさんが演奏しているものは8本の弦からなっており、珍しいものだそう。ボビーさんが奏でてくれるハワイの音楽を聴き、楽しんだところで、目的地であるボルケーノワイナリーに向けて再出発です!!

キラウエア国立火山公園から10分ほど走ると小さな小屋が見えてきました。
周りには小さなぶどう畑があり、とても可愛らしい雰囲気のワイナリーです。

バスから降りるとオーナーの奥様マリーさんが出迎えてくださいました。

挨拶が終わり中に入ると各テーブルにワイングラスがセッティングされており、その様子を見るだけでも、どんなワインが出てくるのかとてもワクワクしてきました。

今回私たちは8種類の made in hawaii のワインを試飲させて頂きました。
私はレポート担当ということもあり、シェフのそばで一緒にテイスティングをさせて頂きました。
ただ私は、お酒をいただくのは好きなのですが、ワインのことは全くと言っていいほど知識がないので、今回このレポートの担当と聞いた時は、すごく不安で仕方ありませんでした。
でもこの度の素敵な機会にシェフのお傍でお話が伺えるということで、シェフのお言葉に耳を傾けながら美味しいワインを堪能しようと、楽しみで胸がいっぱいでした。

そしていよいよテイスティングがスタートです!! 私たちのテーブルでは、マリーさんがサーブしてくれました。

まず一つ目。「Symphony DRY」
2004年の Finger Lakes International Wine Competition にて銅メダルを獲得したワイン。

こちらは、カルフォルニア産とフランス産の2種類のシンフォニーをブレンドした100%シンフォニーの白ワインです。最初は、アプリコットやライチのようなとてもフルーティーな味わいでしたが、後味は甘くなく、さわやかなテイストでした。マリーさんのお勧めのペアリングは、長期間熟成させた濃いチーズやシーフードに合わせること。またシェフは、お寿司や和食に合うとおっしゃられていました。

2つめは「PINOT NOIR」

ピノ・ノワール100%の赤ワインです。
とても美しい濃厚な赤色をしたワイン。年代ものになるとさらに熟成し、よい色になるそうです。
またしなやかなボディーが特長で、プラムや干しぶどうのような味わい、また樽熟によって、より深みとコクを味わうことができるワインです。
こちらのワインのペアリングとしてシェフは、チョコレートに合うかなと想像を膨らませていらっしゃいました。また焼肉やステーキなどのお肉料理にも合うとのこと。

一口飲んだだけで、このワインに合うものが次々と出てくるシェフのお言葉に、私は「なるほど」と頷くばかりで、普段いかに自分が食事をするときに、ただ食べて飲んでいるだけだということに気づかされました。私も「食」に関わる仕事をしているからこそ、普段から食事やお酒を頂くときは、ただ美味しいということだけではなく、「この料理にはこれが合いそう」「これって何を使っているのだろう?」ともっと食に対して深く理解できるようにならなければと考えさせられました。

そんなことを考えていると、次のワインが出てきました。

三杯目 「VOLCANO RED」
2012年と2013年に Finger Lakes International Wine Competition にて銅メダルを獲得したワインです。

ブルゴーニュとシンフォニーのブレンドを85%とハワイ島のフルーツ「jaboticaba berries」を15%使用した赤ワインです。この赤ワインは、人気商品のようで、長年にわたる不動の1位だとか。

ちなみにこのワインに使われている「ジャボチカバ」というフルーツをこの時に初めて耳にしたのですが、どんなフルーツなのか気になり調べてみました。大きめの巨峰ほどの実で、果肉はライチに似た透明のものだそうです。実は木の幹に直接成り、とても不思議なフルーツです。ジャボチカバは、南国の芳香と強い甘みが特徴で、劣化が早いのでジャムやワインに使用されることが多いそう。

そんなジャボチカバを使用したこのワインは、クランベリーやチェリーのような甘さに、少しピリッとしたようなスパイシーさを感じる、とても個性のある赤ワインでした。
香りがとてもよく、シェフはチーズや豚のお肉に合うとおっしゃられておりました。
また2つ目に試飲した赤ワイン「PINOT NOIR」よりもこちらの方がチョコレートに合うともおっしゃられていました。同じ赤ワインでも酸味やコク、香りが異なれば、合う物も変わるのだと、当たり前のことですが、シェフの傍で飲み比べることで、その違いを勉強させて頂きました。

4つめは再び白ワインです。
1杯目と同じシンフォニーを使用した「SYMPHONY MELE」。
Finger Lakes International Wine Competition にて2004年には金、2012年には銅メダルを獲得したワイン。

こちらも100% Symphony grape. 甘味を抑えた白ワインです。
ピーチやアプリコット、ライチなどの味わいが感じられます。
こちらはとても飲みやすく、すっきりとした飲み口でした。

こちらのペアリングとしてシェフは、フォアグラを挙げていらっしゃいました。

5つめは、「VOLCANO BLUSH」
70% Symphony grapes, 30% wohle local jaboticaba berries.
2006年 San Fransisco International Wine Competition にて銅メダルを獲得。

このワインにも、ハワイ島のフルーツ「ジャボチカバ」が使用されています。
淡いピンク色をしたとても見た目が可愛いらしいワインです。

ほんのり甘くて、チェリーやクランベリーの香りがします。
またよく冷やして飲んでいただくのもお勧めらしく、すっきりした軽い飲み心地のワインでした。

このワインには、グリルしたお肉やお野菜、またメキシコ料理やインド料理のようにスパイシーのものに合うとのことでした。

6つめにいただいたのは、「HAWAIIAN GUAVA-GRAPE」というワイン。

こちらは名前の通り、ハワイで育ったグァバを60%とシンフォニーを40%使用したワインです。
このワインは、ワインの大会で数々の賞を受賞しており、Atlanta International Wine Summit では2001年に銅メダルを、West Coast Wine Competition では2006年に銅メダルを、Pacific Rim International Wine Competition では2007年に銀メダルを、そしてFinger Lakes International Wine Competition にて2014年に銅メダルを獲得しております。

グァバのフルーティーさを楽しんだあと、ナッツのような滑らかな味わいを感じることができ、少し複雑だけれども優しい甘さのワインでした。

シェフは、「ゼリーにしたらおいしそう」と。そのお言葉を聞いて、私もこのワインを使ったゼリーを是非食べてみたいと思いました。ひんやり冷えたハワイのカクテルワインのゼリーは、想像しただけでも美味しそうでした。

7つめは、「MACADAMIA NUT HONEY」というワイン。

こちらは、ぶどうもナッツも使用しておらず、100% Big island 産のマカダミアナッツの花の蜜だけを使用したワインです。甘さの中にも少しクセがありますが、とても香りが豊かで、今回試飲したものの中でも一番甘いワインでした。

マリーさんは、このワインを少し温めて飲むと、さらに美味しいとおっしゃっていました。
その飲み方を聞いたシェフも同感だったようです。

アイスクリームやシナモンなど甘いものにも合うということですが、私もこのワインは一度ホットワインでいただきたいなと思いました。このワインの持つ甘さと香りが、より豊かに楽しめるのではないかと思いました。

そして最後のワインは、「INFUSION TEA WINE」

このワインは、先ほど試飲した7つ目のワイン「MACADAMIA NUT HONEY」にBlack Tea(紅茶)をプラスしたワインです。ワインとお茶の組み合わせなど考えたことも無かった私にとっては、どのような味なのか全く想像することができませんでした。
グラスを口元に近づけた時、「青のり」みたいな香りがするとシェフはおっしゃいました。
確かに私も青のりの様な香りを感じ、一口飲んでみると甘さの中にもさわやかさを感じて、「紅茶と蜂蜜が合わさるとこんな感じになるのか」と、なんとも不思議な味わいに感じました。

ペアリングとして、シェフは海のものが合うと。
このワインが海のものと合うなんて、商品名を聞いただけではもちろん想像も出来なかったですし、頂いても、今の私にはワインの個性が強くて、ワインと食を一緒に楽しむという考えになかなか至りませんでした。今回シェフがおっしゃられたお勧めのペアリングを是非試してみたいと思いました。
ワインだけで頂くのと、何かと合わせてそのワインを頂くことで、よりそれぞれを楽しむことが出来るような、そんな風に少しでもなりたいと改めて思いました。

これで全てのワインの試飲は終わりです。
8種類のワインを試飲され、シェフの中で一番美味しかったのは、一つ目に頂いた「Symphony DRY」だとか。私もこのワインはとても飲みやすく、綺麗な味のワインだなと思いました。

試飲が終わった後も、シェフはオーナーのデルーさんやマリーさんとワインに対する想いや、シェフのショコラに対する想いなどを話されており、終始会話が弾んだご様子でした。

シェフはいつも、様々な素材とのマリアージュを考えていらっしゃいます。
毎年新作のショコラを発表されるのですが、その都度、私にとって未知の素材が多く使われており、思いもよらない味を楽しませてくださいます。
私たちにも食を通してワクワクやドキドキを感じさせ、楽しませてくれるシェフのその観点は、菓子職人ではない私にとっても学ばせて頂くことが非常に多いです。
何気なく過ごしている日常でどれだけの発見が出来るのか、また興味を持てるのか。そしてそこからさらに考え、形に変えていく力など、簡単なことのようでとても難しいことを実践されていらっしゃり、そういった「気づく力」と「考える力」を私自身ももっと養っていきたいと思っています。

今回の研修を通して、普段私自身があまり考えることのなかった食に対するマリアージュなど、シェフや職人の皆さんが考えていらっしゃることに触れることができ、とても良い経験となりました。今回得た経験や考えをより磨きあげ、私ももっと多くのお客様にこのことを伝えていければと思います。そして、もっと視野を広げ人として成長できるよう、今回の研修で得た様々な出会いに感謝しつつ、今後も頑張りたいと思います。

貴重な経験をさせて頂き、本当にありがとうございました。

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