パティシエ 大嶋光野のベルギー研修日記
エス・コヤマ西村正人パティシエからのバトンタッチで大嶋光野がベルギーのブリュッセルへ研修旅行に!滞在先のパティスリー「デュコブ」にて、文化、言葉の壁、日本とのギャップ、思いやり・・・彼はさまざまな事に出会います。彼はいったい何を学び、考えたのでしょうか。ここでは、彼の体験記をダイジェストでご紹介します。



9月28日(金)

「デュコブ」での初日は朝7時からのスタートでした。コーヒーを1杯いただきホッと一息ついてからいよいよ仕事に参加。初仕事はクロワッサン生地の成形だったのですが、一度で仕上げる仕込みの量がびっくりするほど多いのです。シェフがシーター、デュコブさんとヨートフさんと私の3人が成形をするという体勢で約3時間作業に取り組みました。成形したものは冷凍してストックしておきます。時間はかかりましたが、4人での仕事は効率が良く、心が弾むような感じがして楽しかったです。初めは手順などに戸惑いましたが、同じ作業の繰り返しなので見よう見まねでやっていくうち自分なりの発見があり、意味のある時間を過ごすことができました。次にアップルパイの組み立てをやりました。やはり一度に仕込みをやり終え、冷凍庫へ入れて保存します。一日終えて感じたことは、効率の良さを重視しているから一度に仕込みをしているのだと思いました。

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同僚のネイジャーとともに
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香ばしく焼きあがったヴィエノワズリーたち




9月29日(土)

2日目は土曜日という事で2時から仕事が始まりました。
ベルギーでは家族と過ごす時間を大切にしているようで、一般的に土曜日と日曜日は仕事もお休みだそうです。デュコブの店は営業していましたが、日曜日の商店街は、店が閉まっていたのでとても静かでどこか寂しい雰囲気が漂っていました。11時に仕事が終わったので一緒に働いている日本人の"よし"にブリュッセルを案内してもらいました。ブリュッセルのはずれを歩いて、グランプラス周辺へ。古代の様式を用いた建物がずらーっと並び、日本とは別世界。ゆったりと散歩をしながらベルギーワッフルの食べ歩きも楽しみました。自分好みの美味しいワッフルに出会うまで買い続けましたね(笑)

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グランプラスにて記念の一枚
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ヨーロッパらしい雰囲気に感動して思わずパシャリ!




10月1日(月)

今日はお休みだったのでカオリンとよしと3人で「ブルージュ」に散策へ。フランドルにある"水の都"「ブルージュ」は、9世紀ごろから残っているヨーロッパでも有数の古い街だそうです。あいにくの雨でしたが、街並みがきれいで観光客でにぎわいをみせていました。私たちはチョコレート屋さん巡りをしたのです。その結果、一番美味しかったショコラはチョコレートラインのものでした。カオリンは英語が話せるので、地元の方とコミュニケーションをたくさんとることができ、その土地の文化を間近で感じることができた一日でした。

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ステジエ(研修生)としてカナダから来ているカオリンとブルージュにて
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ルレデセールにも選ばれたブルージュNO.1の人気店にて





10月7日(日)

今日は、朝から数日前に仕込んだガナッシュの流し作業があったのですが、ヴィエノワズリーの仕上げがあったので、終わり次第すぐにお手伝いに行きました。デュコブさんのお店は日曜日が一番忙しいのです。絶え間なくお客様が来店されていてデュコブさんも店頭に立たれて明るく挨拶をされていました。挨拶一つでお店の印象が変わるんだと改めて学ばせていただきました。
また、ブリュッセルのパティスリーやショコラトリーを見てきて、デュコブさんの店を見たときとてもおもしろいと感じました。なぜなら、一口サイズのかわいいプティフールをはじめ、ショコラ、コンフィチュール、ヴィエノワズリーのほか、マロンブラッセ、マジパン、ブーランジェ、プティガトーなどが豊富にそろっているんですよ。これほどまでにバラエティ豊富なメニューがそろうお店はベルギーでは珍しいと思います。また、ディスプレイもデュコブさんの思い出や経験がいっぱい詰まった遊び心のあるデザインで見ているだけでワクワクしました。

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思わず手にとりたくなるデュコブさんのブーランジェたち
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マロングラッセとカヌレに誘われて





10月10日(水)

あっという間に最終日です。1時間早く出勤し、まずタルトを仕上げて、アップルパイを作って・・・マカロンをサンドして。ショコラのほうにお手伝いにいって・・・という作業をやっているうちにあっという間に一日が終わってしまいました。
最後の締めくくりに、感謝とお礼をこめて思いっきりシャンパンで乾杯をしました。
そしていつも温かく迎えてくれたウィリーさんのおいしい手料理も最後です。日本の味が恋しいだろうと考えてくださったのか、日本の料理が4日ほどありました。ウィリーさんにはいっぱい元気をもらいました。私もはっきりとした大きな声で話すことをこころがけ人に元気を与えられるようになりたいですね。
この研修を振り返ってみて・・・仕事を始めるときは、シェフに内容を聞いて作業を進めるというスタンスでした。フランス語は全く理解できませんでしたが、シェフがジェスチャーで要点を教えてくださり、私のテンポに合わせてくださったのできちんと理解しながら仕事を進めることができました。本当に感謝しています。この次はフランス語をもっと勉強してきて相手の考えや想いを理解しより楽しく皆さんと仕事がしたいです。

そして、何より感謝を述べたい人は僕が留守の間、代わりに店を守ってくれたスタッフのみんな、そしてこのようなチャンスを与えてくださいました小山シェフです。本当にありがとうございました。そして、来年も一緒に働く仲間達がこのようなすばらしい機会に恵まれるよう、日々協力し合い指導していきたいと思います。


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お世話になったスタッフの皆さん
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ホストファミリーのウィリー夫妻とともに