1.小山シェフの旅~パリ・ベルギーから得るインスピレーション~2006.5.30(パリ)①市内観光~パティスリー巡り

何度も訪れたパリで、私の心をくすぐった赤い扉

午前中はスタッフ全員でバスによる市内観光へ。シャンゼリゼ通り、凱旋門、エッフェル塔、ルーブル美術館、ノートルダム寺院、マリーアントワネットで有名なコンシェルジュリーなどパリの名所をバスの窓から観光します。スタッフ全員にパリ市街を見せてあげるのが第一目的ですが、センスにあふれたパリの街から私自身も改めて感じるものが!
たとえば、ガイドさんの口から飛び出た「コンシェルジュリ-」という響きを聴いて、ピンとくる。これ、次のギフトサロンの名前にしようか…と。シャンゼリゼ通りでは新しくなったルイ・ヴィトン本店がちらりと見えて、訪問意欲にかられたり…。なんと言っても、数年前から改装工事中のルイ・ヴィトン本店は、建物全体をあの「モノグラム」模様の巨大なラッピングバッグで覆っていたのですから。よけいに"中はどうなってるんだ!?"と興味深かったのです。
正午近く。モンマルトルの丘でバスを降り、スタッフ全員で丘からの雄大な景色を眺めます。この丘にある広場は、新進気鋭のアーティストたちが作品を披露しに集まることでも有名。心くすぐるアートに出会えたら!という期待に胸がふくらませましたが、今回は収穫なしでがっかり。しかし、そこから裏の路地へ抜けたところで、ふと目にとまったものがありました。それは、古ぼけた木の小屋に納まっている、真っ赤に塗られた扉。「あー。なんか気になる…」そうなんです。何かを発想する時、私の場合、いつもこういう感じから始まります。秋に作るブーランジェリーの店構えは、ああいう感じがいいんじゃないか…? これは、おぼろげに抱いているブーランジェリーのイメージに、少しヒントをいただいた瞬間でした。ただし、心をくすぐられ、絶対にこれがいい!というGOサインのハンコを押せるまでには、もう少し他のヒントもいりそうです。
その後は数分歩いて、近年注目のパティスリー「アルノー・ラエール」。「プチガトーを全部ちょうだい」とオーダーした私に、「全部?」と目を丸くする店員さんに、なんとか全種を箱に詰め込んでもらってバスへ。今回味わって魅力を感じたのは、「プティフールサレ」というプチサイズのパンの詰め合わせ。エスコヤマのテラスで食べていただくにも、ぴったりなんじゃないかと思って…。

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アーティストたちが作品をアピールしに集まってくるモンマルトルの丘の広場

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オレンジ色が目をひく「アルノー・ラエール」

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バスでスタッフとたちと分け合うと、ケーキの箱はほんの数分で空っぽに!



人気パティスリーの本店で一流の味を噛みしめる

午後からはメトロに乗ってオデオンへ。まず向かったのはショコラトリー「パトリック・ロジェ」です。ここはインテリアが素晴らしい。強烈な存在感を放つ巨大な球のイルミネーションをはじめ、店内は徹底してスタイリッシュ。一方で、ショーウインドウにはいたずらっ子らしきグリーンの玉ねぎ、にかっと笑った人参など、ショコラで作ったキャラクターたちが愛嬌たっぷりの姿で通りの人々の目を楽しませています。こんなふうに、思いもつかないような演出でいつも驚かせてくれるのが「パトリック・ロジェ」です。
そこから、アート心のある本が豊富にそろう書店に立ち寄り、洋菓子の本を1冊購入。青木定治氏と会う約束の夕方4時まで、市内のパティスリーを巡りました。「ラデュレ」でマカロンを、「ピエール・エルメ」本店でケーキとビエノワズリーを、「ジェラール・ミュロ」ではキッシュを、とスタッフたちは各店で定評のあるメニューを着々と食べていきます。もちろん、座席がない店が多いので、店外でかじりつくのです。パリではケーキやパンを食べながら歩く人も多いので、こういう時は助かりますね(笑)。「ジェラール・ミュロ」ではミュロ氏と対面。「ここにいる全員がパティシエなんですよ」と話すと「ブラボー!」と感激されておられました。

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ふと気づけば、岡田パティシエがフランスサッカー界の英雄、ジダンのTシャツ姿に!

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2001年のTVチャンピオン以来のジェラール・ミュロ氏との対面