堀田パティシエのパリ&ベルギー研修旅行<前編>
「土屋公ニシェフと行く テオブロマ ヨーロッパ研修旅行」に小山シェフと堀田パティシエが参加しました

日本を代表するショコラティエ「テオブロマ」の土屋シェフが毎年主催する、『第5回土屋公ニシェフと行く テオブロマ ヨーロッパ研修旅行』に小山シェフと堀田パティシエが参加しました。
フランス・パリ、ベルギー・ブリュッセル&ブルージュへの7泊8日間の旅。パリで開かれるチョコレートの見本市「サロン ドゥ ショコラ」をはじめ、本場のパティスリーやショコラトリーを見学し、日本とは違う文化に触れることが目的です。

そして、堀田パティシエにとっては、小山シェフと一緒に行動するのも勉強のひとつ。シェフの着眼点は面白いので、旅を通して行動を共にすることで“表現の引き出し"を増やすということのヒントが得られたと言います。また、土屋シェフをはじめ「エス コヤマ」以外のパティシエの方々との交流も堀田パティシエに大きなインパクトを残しました。

小山シェフは、新棟「フレーム」のオープンに向けて、新しいアイデアをたくさん収穫したと、ホクホク満足気。小山シェフの旅行報告も、追ってこのページでご紹介する予定です。まずは、堀田パティシエから見た研修旅行の全様を日記形式で公開です!



1日目:10月24日期待に胸を躍らせつついざフランス・ベルギーへ!

日本を離陸して、いざフランスへ!

出発の朝、日本はあいにくの雨でした。小山シェフと自分は、前日より東京のホテル日航に宿泊し、ホテルから直通バスで成田空港に向かいました。バスの中は、中国人のフライトアテンダントさんがたくさんいらっしゃって、すでに異国ムード。「フランスの天候は大丈夫かな」などと考えているうちに空港に到着しました。集合場所に行くと、シェフのお知り合いの方や、ケーキ屋のオーナーの方などが多数参加されていて、和んだ雰囲気です。そして、この旅の主催者である、日本を代表するショコラティエ「テオブロマ」の土屋シェフもいらっしゃいます。顔合わせから始まり、午前11時10分。いよいよ日本を離陸して、いざフランスへ! 約12時間の空の旅です。
写真

フランスの空港から国境を越えてベルギーへ

フランス時間の午後5時、シャルルドゴール空港に到着。夏にエス コヤマの社内研修でみんなと一緒に訪れた懐かしさと、これから起こる出来事への期待に胸を躍らせつつ、フランスの地へ踏み出しました。夏はヨーロッパならではの白夜の影響で午後9時くらいまで明るかったのですが、今回は10月、夕方6時で薄暗くなっています。空港からはバスに乗り、ベルギー・ブリュッセルまで2時間半の旅。さすがに疲れました。ちなみに、小山シェフは途中、休憩の時に買って食べたマンゴーアイスを気に入っておられました。
写真

ブリュッセルの街に繰り出して…

夜10時、フランスから国境を越えて、ベルギーのホテル「クラウン・プラザ・ブリュッセル」に到着。ホテルの大きさと豪華さに感動! 残念ながら、ホテルのレストランは閉まっていたので、夜の街へ繰り出すことになりました。小山シェフや土屋シェフは、何度も来られたことがあるので迷うことなく街の中心部のグランプラスへ。お店を探して街を歩いていると、中世より存在している建物の偉大さと迫力に、さらに夜の幻想的な雰囲気も加わり、圧倒され、またしても感動していました。レストランでは水タバコを初体験。隣り合わせたお客さんに吸わせていただきました。甘い香りのお香を胸に吸い込んだような感じで、とても美味しかったです。雰囲気を楽しみながら食事をした後、コーヒーに「スペキュローズ」というビスケットが出てきました。しかし、自分はそのお菓子の事を知らず、「結局そこまで興味がないだけやろ?」とシェフから言われ、恥ずかしくて情けなくなりました。店を出る時、パエリアとムール貝ひとつずつと、コーヒー7杯で法外な値段を言われてびっくり。シェフ曰く、「夜遅くまで開いている店は食中毒や、ひったくりがあったりするから気をつけたほうがいい!」とのこと。本当に恐いなと思いました。そんなこんなで、初日は終了しました。






2日目:10月25日ブリュッセル市内観光 ~チョコレート専門店からギャラリーまで~

チョコレート工房と型の店へ見学に

バスで8時20分ホテル発。まずは、チョコレート工房「バンデンダー」を見学させてもらいました。大量仕込みのため、手袋をしてムースを手で混ぜたり、エンローバー(チョコレートをテンパリングし、ボンボンショコラのセンターなどをコーティングする機械)をかけていました。シェフの話では、こういった大規模の店のマロングラッセやコンフィチュールは、ほとんど専門店に発注しているとのこと。「ピエール・エルメ」のコンフィチュールも、コンフィチュール人気の火付け役と言われる南仏・アルザスのクリスティーヌ・フェルベールさんが炊いていると聞いて驚きました。その後、チョコレートの型屋さんへ。色々な型があって、シェフは「キャトリエンムショコラ・進」に飾る用に、アンティークのようなチョコレート型とかわいいアヒルの型を買われていました。

シェフと共にベルギーの街でショッピング

「ヴィタメール」の前で別れて各自別行動。自分は小山シェフと共に、「ピエール・マルコリーニ」のタルトの店や、花屋さん、家具屋さん、インテリアショップなどを周りました。クリスマスが近づいていることもあり、どのお店もクリスマスの飾り付けをしていたのですが、日本のように赤や緑といった華やかなイメージではなく、黒や、鹿の角をあしらったシャンデリアなど、渋い雰囲気のお店ばかり。シェフは北欧系のインテリアを扱っているお店で、ミニチュアのイスを見つけられ「エス コヤマの新しいコンフィチュールの店で、新作のコンフィチュールをこれにのせて飾るんや」と、とても面白い発想を教えていただきました。その後、これからベルギーにお店を出される予定のパティシエ佐々木さんと合流し、カフェでランチタイム。シェフが頼まれたカレー風味のチキンのサンドイッチには、赤い実のジャムとマンゴーが添えられていて、その組み合わせの良さに驚きました。次に「ピエール・マルコリーニ」へ行き、シェフはトリュフシャンパーニャを買われていました。それからベルギー王室御用達チョコレート店の老舗「ノイハウス」へ。
写真

シェフが女像と「アダムとイブ」の木型に出会ったギャラリーと工房へ
アーケード街には、人形屋さんがたくさんあって、人形の表情の豊かさに感心しました。それから、シェフが以前「キャトリエンムショコラ・進」の店内に飾っている女像を購入されたというギャラリーと、「アダムとイブ」の木型を作っていただいたスペキュローズの型職人の工房へ行きました。ギャラリーでは、シェフに絵を描きたいとおっしゃっている画家の方がいらっしゃるという話しを聞き、シェフが繋がっていく人は凄い方ばかりだなと感嘆。スペキュローズ木型の工房でお会いした職人さんは80歳になるそうです。ベルギーには、この仕事ができる方がこの方一人しかいらっしゃらないとのことで、そのお歳で仕事をされる姿に、本当の職人の姿を見たようで感動しました。「キャトリエンムショコラ・進」で飾られている物たちの後ろにあるストーリーを知ることで、女像や木型を含め、空間の持つ深みを改めて感じ、今までと見方が全く変わりました。
写真


ディナーの席で気づいたこと part.1 ~シェフの凄さに圧倒されて~

そして夕食は「マイユ」というパティスリー(ここは以前エス コヤマのスタッフ須甲さんや西出君が研修でスタジエさせていただいていたお店です)の近くのレストランへ。料理の中で、スープにバニラを使っていたので、このような面白い組合わせを一度試してみたいと思いました。ツアーに参加されているパティスリーのオーナーの方々と同席させていただいたのですが、その方々がお店の経営や考え方などについて、小山シェフや土屋シェフに伺い、耳を傾け熱心に聞かれている様子を見て、改めて、すごい方のもとで働かせてもらっているんだなと、圧倒されるばかりでした。




3日目:10月26日新しいショコラのアイデアがいたるところに満載!

ブルージュでチョコレート専門店をハシゴ

ブリュッセルからバスで約1時間半かけてブルージュへ。ブルージュの街はとても美しく、まるでテーマパークのようなところでした。まず、ホテル「アウト・ハウス・アムステルダム」に荷物を置き、チョコレート専門店「シュッケルブック」へ。お店に入ると、何とも言えないチョコレートの甘い香りが漂っていました。工場を見学させていただき、チョコレートの生産過程を説明していただきました。昼食後、次は「チョコレートライン」というチョコレート専門店へ。このお店では、塩のついたボンボンショコラにテキーラの入ったスポイトが刺さっていて、塩をなめてからボンボンショコラとお酒を一緒に味わう「ソクテル」や、オリーブのショコラ、トマトとバジルのショコラなど、料理感覚を取り入れた斬新な商品が並んでいて面白い、そして味わいも格別!若いシェフが気さくにそのショコラを詳しく説明してくださいました。小山シェフもこのお店のショコラに感心されていた様子。色々なショコラを購入されてました。来年の2月に小山シェフが講習される予定というチョコレート博物館を見学し、ホテルに戻りました。
写真

シェフの発想の源はお菓子以外の世界にも!

夜に、小山シェフと散歩をしながら街を見てまわったのですが、シェフはパティスリーを見るよりもアンティークや、インテリアショップのショーウィンドウを見られていて、「店で使えるものや、発想の元など、お菓子屋を見るよりもそこから得られる物の方が多いんや」と教えていただきました。ブルージュには一日しか滞在しませんでしたが、映画の中にいるような美しい街で、もう一度来たいなぁ思いました。
写真