世界のカカオと個性ある素材の出会いに魅せられて。小山進のクリエイションの結晶

SUSUMU KOYAMA’S CHOCOLOGY 2019 ススム コヤマズ チョコロジー 2019

1箱(4個入) ¥1,728

MELLOW ~緑から赤へ 鏡の中の物語~

賞味期限
30日(20℃以下)
箱サイズ:縦10× 横10× 高さ3.5cm
特定原材料27品目:乳成分、りんご、大豆

自然界に多く存在する「緑」と「赤」の組み合わせは、幼少期から視覚的にも味覚的にも僕を魅了してやまない。ここ数年、僕のショコラ創作を語る上で素材の組み合わせとしても欠かせないが、2019年はそれが単に素材としての緑と赤ではなく、太陽を目いっぱい浴びてそのエネルギーを成長のために使う緑から赤へと変わりゆく過程、つまり成熟していく過程を一つの「物語」として捉え直した。その物語の主人公は一人の女性。人の「未熟さ」を表すときに使われる「青い」イメージの「若かりし頃」から、少し大人に近づいて表層的な「かわいさ」「チャーミングさ」を象徴するような「ピンク」や「真っ赤」が好きになったりしていた時代、そして大人になって歳を重ねるにつれ、人としての深みが増していく……そんなイメージだ。味の表現としては、前作のテーマ「What A Wonderful World~限りある生命 儚さを閉じ込めて~」を引き継ぎ、「いろいろな見方をすると、世の中にはまだまだ一瞬の面白いものに出会う」ということ深めて昨年やり残したことを表現した作品もある。そうした視点・考えから今回の4つのショコラは、一種の伝記映画的な手法で、召し上がっていただく順番が構成されている。年老いた女性が孫に向かって「昔はね……」と語り始めるように、1つ目のショコラは「What A Wonderful World~」の回想シーンで幕を開ける――。
パッケージの色合いもテーマを色濃く反映した。前作と同じ萌黄色のベース色に赤を足していき、緑の葉が秋を迎えて紅葉していくように、緑のニュアンスを残しながら熟成感のある赤色で表現。そして、緑から赤へ、少女から大人へと成熟していくように、世の中の様々なものや人との出会いを通して、経験を重ね歳を重ね、円熟していくことの素晴らしさを、この4つのショコラの構成だけでなく一人の女性の人生に例えたアートや写真で表現している。

No.1 回想~野菊の香り 2018~
◆No.1 回想~野菊の香り 2018~

野菊の葉の青さと苦みに
フルーツの華やかさが重なって


パッションフルーツやアプリコットのような華やかな香りを持つ台湾の野菊の花を、実際には花を用いずに、野菊の葉の香りとほのかな苦みを移したペルー・チャンチャマイヨ産カカオのショコラ・オレ48%のガナッシュと、パッションフルーツ&アプリコットのパート・ド・フリュイの組み合わせで表現しました。野菊の「葉のみ」を使って、香りの奥にある苦み(青さ)のニュアンスをはっきりと持たせることで、パート・ド・フリュイのフルーティーな味わいの中に奥行きを感じる、立体感のある味わいを表現しました。前作のテーマ「What A Wonderful World」を引き継いだ作品です。

No.2 蕾 ~ハマナスの花のように~
◆No.2 蕾 ~ハマナスの花のように~

チャーミングなハマナスと渋みを宿したインド産カカオ
2つの素材のマリアージュが生み出す深い味わいと余韻


「ピンク」「かわいい」などのイメージが食べた瞬間に頭の中に広がるショコラ。酸味や華やかさとともに渋みを宿したインド・アナマライビレッジ産カカオのショコラ・ノワール70%、そして、醗酵を経たカカオから抽出したカカオバターから生み出した華やかな香りのペルー・チャンチャマイヨ産カカオのショコラ・ブラン40%という2019年に初めて出会った2種類のショコラを合わせたガナッシュに、中国の有機農園で丁寧に育てられたハマナスの、バラのようであり、かつフルーティーな香りを移し取りました。コーティングとガナッシュの間には、ピューレを使わず特殊な技術でフランボワーズの味わいを閉じ込めたフランボワーズ・ショコラを薄く配して酸味をプラス。口どけとともに広がる、華やかな味わいの奥底に宿る渋みが複雑味を醸し、深い余韻をもたらします。華やかさと渋みの共存が描くのは、若々しかった頃を回想し、その頃の可愛さも宿しながら熟年を迎えた女性の姿です。

No.3 赤の時代へ~パプリカフランボワーズ~(スペイン・ラヴェラ産パプリカ)
◆No.3 赤の時代へ~パプリカフランボワーズ~(スペイン・ラヴェラ産パプリカ)

スモーキーな香りと完熟パプリカの深い甘味が
フランボワーズの酸味とナッティなコクと奏でる三重奏


このショコラ誕生のきっかけは、フランスのとあるスパイス屋さんが持っていた、スモーキーかつ奥に甘味を宿した素晴らしいパプリカとの出会い。スペインのラヴェラ地区で栽培された真っ赤に完熟し甘みを宿したパプリカは10~15日間かけて乾燥・燻製され、丁寧に石臼で挽かれてパウダーに。それらを自家製のアーモンドプラリネに混ぜ込みました。上の層には、アーモンドと同じバラ科であるフランボワーズの果実の華やかな香りと酸味、そして葉の苦みを移したマダガスカル産カカオのショコラ・ノワール64%がベースのガナッシュを重ねて。ひと口含めば広がるスモーキーな香りの中から、フランボワーズの酸味と香りが広がり、深みのある甘味を持ったパプリカとアーモンドが生み出すマリアージュが心地よい味わいを醸します。

No.4 Mellow~ダージリン~(インド・シンブーリ茶園 2018 春摘み)
◆No.4 Mellow~ダージリン~(インド・シンブーリ茶園 2018 春摘み)

インド産カカオとの出会いが可能にした
ショコラによるダージリンの本質の表現


このショコラを一言で表すとしたら「透明感」。熟した果物のような香りと甘み、そして心地よい後口が素晴らしい、インド・シンブーリ茶園で栽培された貴重なダージリンのファーストフラッシュとの出会いが生み出した一品。紅茶のシャンパンともいわれるダージリンを「ストレートで飲んでいるような感じのものが出来たらいいな」というイメージで創作しました。紅茶と同じくインド生まれのカカオからつくられた、酸味や華やかさとともに渋みを宿したインド・アナマライビレッジ産カカオのショコラ・ノワール70%、そして、醗酵を経たカカオから抽出したカカオバターから生み出した華やかな香りのペルー・チャンチャマイヨ産カカオのショコラ・ブラン40%という組み合わせによって、乳味感を奥底に宿しながらも、小山自身も驚きを隠せなかった透明感のあるダージリンそのものの味わいを表現できた2019年の創作を代表する作品です。