パティシエエスコヤマ研修旅行記2016

Vol.13 ホイアン旧市街の散策 WRITER:岩下 枝梨子

ラッピングを担当している岩下 枝梨子です。
研修5日目、5月15日のベトナム・ホイアン旧市街散策のレポートをさせていただきます。

ベトナム中部のダナン市から南へ30キロほどいったところに、ホイアンという街があります。ホイアンは約180年前の街並みが今も残っている古い港町。木造ならではの風情のある街並みは東南アジア随一と言われているそう。
日本を出発する時から、とても楽しみにしていました。

街について、歴史的な背景を少しご紹介いたします。
ホイアンは15世紀にはアジアとヨーロッパを結ぶ国際貿易都市として発展を遂げましたが、19世紀に入ると街と海を結ぶトゥボン川に土砂が堆積し、水深が浅く使いづらくなり、港の繁栄はダナンへと移ってしまったそうです。
ホイアンの街は急速に衰退し、一時人々の間から忘れ去られてしまいました。
しかし、ベトナム近隣の大都市が近代化の影響を受けることで、逆にホイアンの昔の面影をそのまま留めた街並みが貴重なものとして、1999年にユネスコ世界文化遺産として登録されました。

今では観光客でにぎわう街には、こんな背景があったのですね。
また16世紀には1000人以上の日本人が住んでいたとされ、日本と歴史的に深いつながりを持つ街だそうです。

ホテルからバスで移動すること1時間。日が沈み、辺りが薄暗くなってきた午後6時に到着しました。
ちょうど日没後のわずかな時間で最も美しい瞬間の“マジックアワー”に間に合いました。
街の明かりと建物のディテールが両方見える、撮影には最高のひと時です。

日が暮れ、ランタンに明かりが灯り始めると、街並みは一気に幻想的な雰囲気に。
満月の夜には町中の灯りを消し、提灯の明かりだけを灯す夜祭が毎月開催されているそうです。

しばらく歩くと、「来援橋」という橋が。
来遠橋という名前は、“朋あり、遠方より来たる。また楽しからずや。”という論語の一節にちなんでいるのだとか。15世紀に、当時日本人が建造したといわれているので通称・日本橋と呼ばれています。
地震を考慮して頑丈に創られているそう。ベトナムの紙幣にも描かれています。


日が傾き、日中の汗がしたたり落ちるような暑さから徐々に過ごしやすい気温になってきました。

川沿いにはコムガーという鶏飯や、ホイアン名物のカオラウを販売している屋台がありました。
お肉の盛り方が豪快です。
また屋台の近くには食事を楽しむ人や、友人や家族と談笑している人々の姿がありました。
カラフルでおしゃれな形の箱に入ったロウソクに火を灯している少女たちがいました。
お金を払うと、灯籠を流すことができるようでした。

日本橋を通り過ぎ、徒歩15分ほどで目的のレストラン・「Don Tien River Restaurant」に到着。

小山シェフが「ホイアンの名物を食べよう」と提案され、ガイドさんおすすめのお店へいくことになりました。
総勢15名で夜風を感じながら、屋外ディナーです。

まずはワイン選び。
小山シェフが選ばれたのはこのレストランのハウスワイン、フランス産のソーヴィニョンブランです。
栗の名産地で有名なアルデッシュ地方のものでした。
高い気温とベトナム料理の甘みには、少し酸が立っているワインも美味しいとおっしゃっていました。

1品目の料理は生春巻き。
豚肉やシュリンプ、野菜をお米の皮で巻いたシンプルな春巻きです。
ナンプラーをつけていただきます。

2品目は“MONEY BAG”と名付けられた揚げ春巻き。
中には豚肉、カイワレ大根、人参、生姜、マッシュルーム、ピーナッツなど、一口サイズのカリカリの巾着の中に、具がぎっしり。皮にはリョクトウが練り込まれているようでした。
巾着の口を結んでいる、昆布といっしょに食べるととてもおいしかったです。

3品目は揚げワンタン。
シュリンプのすり身と野菜、昆布にスイートサワーソースを合わせて。
パリッと香ばしく、甘さの中に少し酸味が効いています。
屋台などで地元の方々にも親しまれる定番料理です。

4品目はマンゴーサラダ。
グリーンマンゴーと牛肉を細切りにして和えた一品です。
胡麻をのせてせんべい状に焼いたライスペーパーといっしょにいただきます。
私たちが食べなれた、熟したマンゴーとは違い、フルーティ感のある野菜のような感じでした。

5品目はカオラウ。
カオラウとは、うどんのようにコシのある汁なし麺のこと。ホイアンの郷土料理です。
日本の伊勢うどんがルーツと言われています。
具はお店によって異なりますが、豚肉やもやし、揚げたライスペーパー。香草を自分でトッピングし、唐辛子やライムはお好みで。スープは少量なので、麺とよく絡めてから食べます。
小山シェフ曰く、ごま油やオイスターソースを加えると更に美味しくなるとのこと。

美味しいホイアンの名物料理に舌鼓を打ちつつ、ホーチミンのレストランで食べた料理の感想や今後、これから販売予定のアイテム、京都で見つけたこだわりのらっきょうのお話など、小山シェフとスタッフの会話の中にはいつも美味しいものや楽しいもので溢れています。
小山シェフ、楽しく貴重なお時間をご一緒させていただき、ありがとうございました!

時代と共に様々な文化の影響を色濃く受け、南部の中心地ホーチミンや中部のリゾート地ダナンともまた一味違ったエキゾチックな魅力を持つ、ホイアン。
ベトナム戦争中の南北軍が協力して攻撃を避けたというお話も納得の美しさでした。

美しいランタンの灯りに見送られながら、幻想的なホイアンの街を後にしました。