Aloha!
お菓子教室の日高 理恵です。
私からは、ハワイのチョコレート店「manoa」チョコレートファクトリー訪問についてレポートさせて頂きます。
研修旅行オアフ島2日目。
北東部にあるカイルアという街にマノアチョコレートのお店があり、近くにはパンケーキで有名なブーツアンドキモズや、ホールフーズマーケット(オーガニックスーパー)、MADOREチョコレートのお店があります。
カイルアのスクエアビルディングの2階。
私たちがマノアチョコレートのお店に入ると、オーナーのデュランさんと、奥さんのタマラさん、日本語を話せるスタッフの皆さんが温かく迎えて下さいました。
店内はオシャレな空間で、チョコレートのパッケージがずらりと並んでおり、奥に入るとチョコレート作りに関係する色々な機械が置かれています。
まずは、タマラさんからマノアチョコレートの事を詳しく聞かせて頂きました。
マノアチョコレートは、ハワイのチョコレート産業に貢献するという理念のもと、2010年に創業されたお店です。
ハワイは50州あるアメリカ合衆国の中で、唯一カカオ栽培が出来る地域です。
メイドインハワイのチョコレートとしては、ハワイ島のヒロ (kazemaru Farm)と、ワイアホレ、マウナウィリ、ハイクの農園で育てられたカカオを使用されています。
その他のチョコレートは、ペルーやエクアドル、コスタリカ、マダガスカル、リベリアからも厳選された質の良いカカオだけを仕入れてられています。
そして、オーナーのデュランさんがカカオ豆の焙煎や、チョコレートになるまでを説明して下さいました。
デュランさんは今までに、世界各地の農園に自ら足を運び、カカオ豆の発酵を手伝われています。
カカオ豆は完熟の状態で収穫されたもので、生のカカオを10粒ほど食べて味の方向性を決められます。
チョコレートは酒やワインと同じで、良い素材が無いと、良いものは作れない。
どうやって栽培されて、発酵され、乾燥されているのかを知る事が大切だとデュランさんは言います。
発酵、乾燥のされたカカオ豆は焙煎のあと、砕いて皮とニブにわけられます。
現在は専用の機械がありますが、その機械が入るまでにデュランさんがされていた事に私たちは驚きました。
最初は自転車を改造してカカオ豆を砕く機械を作り、コンベアー代わりにマッサージ機を改造。更には掃除機を改造して不要になる皮の部分を吸引する装置を工夫して手作りしていたそうです。カカオに関する事ならどんな事にも挑戦する、面白くて凄い方だなぁと思いました。
カカオニブはその後、石臼に似たような原理で作られたコンチングの機械で磨り潰し、ペースト状にします。
機械に入れて45分後に砂糖を加えます。
砂糖の量はそれぞれのカカオ豆によって、酸が一番際立つところを見極めて調整します。
例えば、75gのカカオマスに、25gの砂糖を加えるとカカオ分75%(100g)のチョコレートになります。それで、カカオ分70%や、75%というように、よく目にする表記のパーセンテージが決まっているのです。
そして、雑味を飛ばしたりして1~2時間後には滑らかになります。
このコンチングは2~5日間念入りにし、砂糖の結晶もできない口当たりの滑らかな状態に仕上がります。
その後、テンパリングをとる機械に入れ、型に流されます。
そしてようやくパッキングされて完成します。
お店の中の機械だけでは、一気に量を作る事が出来ないという事で、歩いて5分程離れた場所に工場を設けて、大きな機械を導入し、生産の効率を上げられています。
1枚のチョコレートができるまで、カカオの栽培からの流れをたどっていくと、発酵・焙煎と様々な工程があり、一つ一つ丁寧に作られている事が分かりました。
そんなデュランさんの作るチョコレートは本当に美味しい!
チョコレートの試食もさせて頂きました。
ハワイ島のヒロで育てられたカカオのチョコレートや、ハワイ産の海塩を表面にトッピングされたものもあります。
中でも人気があるのは、ローストしたカカオニブとコーヒー豆を表面に散りばめたチョコレートで、ガリガリとした食感そして、カカオニブとコーヒー豆の苦みや香ばしさがチョコレートと一体となって凄く相性が良く、シリアルに混ぜて朝食にするなどしても喜ばれる美味しさ。
自分ランキング1位は、HAWAIIAN HONEY 75%CACAOです。
砂糖の全体量の1部分をはちみつに置き換えて作られたチョコレートです。
噛んでしまうと分かりにくいのですが、口の中でゆっくり溶かしていくと、はちみつの風味がじわじわと感じられる楽しさがあり、お気に入りです。
自分ランキング2位は、HAWAII ISLAND CHOCOLATE WITH RUM₋SOAKED NIBSです。
ラム酒風味のチョコレートなのですが、カカオニブをラム酒に漬け込んだもので作られており、ラムの風味がはっきりと綺麗に出ていて、なめらかな口当たり。
「また食べたい!」と思わせるお味でした。
ペルーや、エクアドルなど産地別のチョコレートも酸味や香りが異なり、食べ比べてみるのも面白いし、自分好みのチョコレートが見つかります。
チョコレートを作る工程で、カカオニブとハスク(表皮)に分けられ、ハスクが残ってしまいます。
(オーナーの奥さん)タマラさんこのハスクも捨てるのではなく、何かに活かせるようにと考えられ、チョコレートティーとして重宝されています。
チョコレートの試食の時にも、振る舞って下さいました。
一口飲むと、カカオの香りが感じられ、ポリフェノールも含まれています。
お土産に頂いたので、帰国後に自分でも淹れてみました。
砂糖を加えるとチョコレートを口に入れた時の感覚がクリアに味わえるドリンクで、飲みやすくなりました。
マノアチョコレートでは、日々良いものを追求し、高品質なチョコレートを作り、地元の方から多くの人々にお届けすることで、ハワイのチョコレート産業の発展に取り組まれています。
デュランさん、タマラさん、お店で働かれているスタッフの方は皆さん、チョコレートに対して情熱があり、良いものを伝えたいという気持ちがとても伝わってきました。
昨年のベトナムのカカオ農園訪問など、今までに海外研修などで体験した事を振り返ってみると、それぞれの土地に与えられた環境を利用して、例としては、ワイン用のぶどうやカカオを大事に育てられている方たちがいます。
私たちが市場で目にする前の段階で、見えない苦労や工夫をしながら良いものを作ろうと努力されています。自分は同じ事が出来なくとも、お菓子を作る上で手にする材料がどのように作られているのか、まず知る事が大事だなと思いました。そして、自分の目で見て体験した事は色んな方にお話しし、もの作りの面白さを共有したいです。
今、自分の目の前にある仕事に真剣に向き合い、エスコヤマにきて下さるお客様の元へ良質なものを提供できるように努めて参ります!
最後までお読み頂き、ありがとうございました。