パティシエエスコヤマ研修旅行記2017

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Vol.8  5月13日 4日目: WRITER:岩下 枝梨子

ラッピングを担当している岩下 枝梨子です。
ハワイ研修旅行4日目、5月14日の午前中のレポートをさせていただきます。

この日はいつもより早起きをして、5時半にホテルのロビーに集合しました。
まだあたりは薄暗く、年中温かい南国のハワイとはいえ日が昇る前は少し肌寒く感じます。

バスに揺られておよそ10分。
朝日が昇り始めたころに到着したのは、宿泊しているホテルがあるハワイの中心地、ワイキキとは別世界の木々や山々の風景です。
目指すのはダイヤモンドヘッドの頂き、ハイキングをしながら山頂まで登ります。

スタート地点の歩道はコンクリートで舗装されていて平坦です。
2~3人が横に並んでも余裕がある道幅も、歩き進んでいくと舗装された道からいよいよ本格的な山道に入っていきます。
山道に入ると、人とすれ違うのがやっとなくらいの狭い道幅になります。

ダイヤモンドヘッドの歴史を少し紹介いたします。
1968年に国立の自然史跡に指定され「ダイヤモンドヘッド・州自然記念公園」と命名されました。
ワイキキビーチからもその姿を望むことが出来るダイヤモンドヘッドは、オアフ島の最南端にある、ハワイのシンボル的な存在です。
標高232mで、山頂までの所要時間が約30分~40分と気軽にハイキングを楽しむことができます。
“山頂”と書きましたが、実は火山の噴火口です。
噴火したのは約15万年前ということなので、想像もつかないほどはるか昔のことです。
今では絶景を望むことができる観光スポットとなっています。

私たちが山を登り始めるころには、陽が昇りはじめ次第に山々が明るく照らされていきます。
なんて気持ちの良い朝でしょう。

ダイヤモンドヘッドのハイキングは想像以上に良い運動になります。

早朝に関わらず、たくさんの人です。
標高が高くなるにつれて遠くの山々まで見渡すことができ、だんだん眺めが良くなってきました。
これほど雄大な山々を眺めることは、日本でもあまり経験したことがありませんでした。
少し恐れを感じるほどの偉大さに、思わず息をのみます。

そろそろ山頂かな?と期待に胸を弾ませていると、その先には少し屈まなければ進めないような狭いトンネルのような通路や急こう配の階段、そしてさらにその先には螺旋階段など秘密基地のような作りになっていました。
そう簡単には、絶景は見られないようです。

それもそのはず、かつてダイヤモンドヘッドの山頂にはアメリカ軍の要塞がありました。
日本との戦闘の際に造られたそうです。
戦争があったのはほんの75年ほど前の話です。
今私たちがこうして異国の地の歴史や文化をその土地で直に学び、様々な経験をし得ることができるのは、様々な歴史を経て平和があってこそなのだと感じました。
 今では日本の盆踊りが“盆ダンス”としてハワイの恒例行事の1つとしてさまざまな国籍の方々に親しまれているそうです。

こういった歴史を知ることで、今私が当たり前のように生きているこの時代、この環境に感謝の気持ちでいっぱいになりました。

山頂の展望台は、要塞の観測地点の上に造られています。
オアフ島の最南端にあるだけあって、眼下にはどこまでも広がる真っ青な海。
その西の方角をたどるとカピオラニ公園、更にその先にワイキキの街並みが遠くまで続いています。

展望台からの眺望は障害物がないので、360℃大パノラマが見渡せます。

陽が高くなり、しばらく山頂からの景色を堪能したら、登ってきた道とはまた別のルートで下山します。

ダイヤモンドヘッドをバックにスタッフみんなで集合写真を撮り、バスに乗り込もうと移動をし始めたその時、どこかでお見かけしたことのある人物が!!

偶然にも南海キャンディーズの“山ちゃん”こと山里亮太さんとお会いすることができました。
どうやら山里さんはテレビ番組の撮影だったようです。

ちょうど今春、シェフが番組で共演させていただき山里さんもシェフの顔を覚えてくださっていました。

日本だったらまだしも、早朝の海外でこんなご縁もあるのだなと驚きの余韻に浸り少し興奮気味にバスに乗り込み、向かった先はお待ちかねのKCCファーマーズマーケットです。

KCCファーマーズマーケットとは、ダイヤモンドヘッドの麓にある大学の駐車場で毎週土曜日の午前中に開催される、ハワイ最大級のファーマーズマーケットです。(KCCはカピオラニ・コミュニティ・カレッジの略だそうです。)

ここはハワイの農場の採れたてフルーツ、野菜、お肉、魚介類などのローカルフードやはちみつやお花、シェーブアイスのお店などなど多種多様な60以上のブースが軒を連ねます。
ハワイ産であるという審査を通過したお店が出店しているそうです。

あちらでは生絞りのフレッシュフルーツジュース、こちらではもくもくと煙が上がりソーセージやハンバーガーのパテを焼いているジューシーな匂い。
到着するまでは、フランスで言うところの朝マルシェのようなイメージを持っていましたが、ファーマーズマーケットの方がお祭りのような賑わいで活気やライブ感があるように感じました。

まずは入口からほど近い、ジンジャードリンクのお店、パシフィクール。
パシフィクールのジンジャーシロップの特徴は、ハワイで育てられたジンジャーのみを使用し、保存料、人口着色料、人口香味料を一切使用しない無添加なことです。
私はパイナップルジンジャーをオーダーしました。
出てきたドリンクは葉っぱつきのライムが丸ごと入っていて、ライムの鮮やかなグリーンとパイナップルのイエローがなんともトロピカルな色合いです。
ジンジャーがピリリと効き、見た目よりも薄味なのでゴクゴク飲めて爽快という言葉がピッタリです。

2件目はホノルルバーガーカンパニーというパシフィクールのすぐ隣のお店にある、ハンバーガーのお店です。
ジンジャードリンクの列に並んでいるときから奥でハンバーグを焼く煙がモクモクと上がっておいしそうな匂いが気になり、タロイモを使用したバンズに、目の前でハンバーグ焼いてくださる姿がおいしそうだったため、即決しました。

私はトロリとしたスイスチーズが魅力的な、マッシュルームバーガーをチョイス。
オーダーする際にサンドするハンバーグの焼き加減と名前を聞かれ、“Eri”と答えました。

しばらく待って名前が呼ばれ、できたてのハンバーガーが出来上がりました。
アツアツのハンバーガーが入った容器を開くと、とってもジューシーなハンバーガーと共に“Edi”の文字が。

英語の発音って難しいですね。
私の名前が欧米の男の子みたいになってしまいました。
こういうことも、海外の楽しさです。
そんな話題で盛り上がっていると、気づけば集合時間の3分前!
出来立てのハンバーガーにすぐにかぶりつきたい気持ちは山々でしたが、一旦お預けです。

集合場所に集合すると、初めてお目にかかる女性がいらっしゃいました。
ローカルランナーのYukoさんです。

シェフや希望者と一緒に、ホノルルマラソンのコースの一部を走ってくださいます。
学生時代、持久走が苦手でみんなが走り始めるギリギリまで悩みましたが、せっかくここまできたのだから4キロぐらいなんとか走りきれるだろうという気持ちで参加しました。

最初からハイペースで、シェフやみんなが爽やかに走る姿をカメラに収めたかったのですがなかなか追いつくことができませんでした。
バウムクーへン担当の坂本さんが首からカメラを提げながら、走っているシェフやスタッフを並走して撮ったり、時には先回りして正面から撮影したり、とても頼もしく本当にすごいなと思いました。

(大きなカメラでみんなを撮影しながら、ジョギングを楽しんでいる坂本さん)

一方私はというと、「岩下さんが走るなら、一緒に走りますよ」とおっしゃってくださった大内さんや蔵本さんに励まされながら、みんなに大きく引き離されなんとかゴールすることができました。
走り終えたあと、待ってくださっているみんなの元へ向かう途中でホノルルマラソンのお話をシェフがしてくださり、ホノルルマラソンは個人戦ではなくチーム戦だと初めて知りました。
今回の私のように一人遅れてしまっては良い結果が残せないので、各々の努力が試される大会なのだと思いました。
6キロ以上道のりを走りながら、ジョギングにはすれ違う人との一瞬の出会いや、私たちと同じようにジョギングを楽しむ人々。住宅の庭にヤシの木が植えられていること、バナナの木があるお家や、建物と建物の間から見える海がとても美しいこと。
想像していたよりも様々な発見や楽しみがあるということを初めて感じることができました。

日本では目にすることのない様々な発見や、ハワイの魅力を堪能することができ、とても良い経験になりました。

その後、ホテルに帰りお預けだったマッシュルームバーガーをしっかりいただきました。
冷めたあとも中のパテがジューシーでマッシュルームとスイスチーズの組み合わせが絶妙な美味しいハンバーガーでした。

今日は早朝からよく運動し、それによって様々な発見がありました。
シェフから教えていただいた、ホノルルマラソンで走る際はチーム戦だという言葉がとても印象的でした。メンバーそれぞれが最大限に努力してこそ良い結果を残すことができるのは仕事でも同じことだと思いました。
私が担当しているラッピング商品もデザインが決定してから店頭にデビューし、販売期間が終わるまでに、たくさんのスタッフが関わり携わってくださいます。
私に関わってくださる方々に常に感謝の気持ちを持ち、一番良い流れにする方法を考えながら向上心を持ち続けなければならないと感じました。

またシェフは、ジョギングをしているときに目にする草花や昆虫たちの造形や季節の色どり香りなど自然の中からインスピレーションやヒントを得ることがあるとおっしゃいます。
ジョギングやハイキングなど自然の中に身を置く時間の中で、健康的な身体作りと共に心が癒され、インスピレーションを感じることによってイマジネーションする力を養うことができるのではないかと思います。
同じ運動をしていても、ジムの中では決して感じることができないことだと思います。
今まで特別に意識したことがなかったのですが、日々の生活の中で鈍ってしまった感覚は、時に自然の中で開放し、リフレッシュすることがとても大事なことなのだと感じました。
私が提案するラッピングも、頭で考えて作るものばかりではなく、感じたこと、発見したことからイメージができると素敵だと気付くことができました。
今回の経験を生かし、自然と触れ合う時間を日々の中に増やしていこうと思います。

旅もいよいよ後半に差し掛かりました。
新たな発見や驚きと出会えるエスコヤマの研修旅行記は、まだまだ続きます。
最後まで盛りだくさんの内容となっておりますので、是非お楽しみに。

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