パティシエエスコヤマ研修旅行記2017

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Vol.1 オアフ島1日目:LONOHANA農園訪問 WRITER:原 敏之

アロハ~!!

今回、研修旅行レポートのトップバッターを務めさせていただきます。
販売部の原 敏之と申します。よろしくお願いします。

今年も忙しいゴールデンウィークが終わり、待ちに待った海外研修旅行の時期がやってきました!!
まず初めにエスコヤマの研修旅行についてご説明します。
二年目以降の社員が参加する研修旅行ですが、昨年はベトナムに行きカカオ農園を訪問しました。
ありがたいことに、エスコヤマのショコラは世界的にも評価を頂いております。そこで働くスタッフも実際にカカオの産地に行き、カカオ農園を訪れ、直接カカオに触れ、カカオフルーツを食べて、チョコレートの元となる、カカオについて勉強してほしい、という小山シェフの想いからです。
そこで学んだことお客様に伝えたりすることで、自分の仕事に生かしております。

今年の研修先は、南国のハワイです。
ハワイというと連想するのが「青い海」「パンケーキ」「アサイー」などなど…有名なものがたくさんありますが今回の目的の一つが「カカオ農園の見学」です。
ハワイでカカオ!?とびっくりされると思いますが、アメリカ合衆国の中でカカオを生育できるのは、なんとハワイ州だけ!ということをご存知でしたか?

そう、ハワイでもカカオを育てることができるんです!!

初日、朝の7時にホノルル空港に着きカカオ農園見学のため、さっそくバスに乗り込みオアフ島北部のノースシュアという街に向かいました。
ハワイの景色を見ながらバスに揺られること2時間。ようやく最初の目的地「LONOHANA農園」に到着!!

「ロノハナ」とは2つの単語をもじって作られています。まず「ロノ」は、ハワイで昔から信じられている農業、農耕の神様の「ノロ」そして「オハナ」はハワイでは「家族」と言う意味です。
カカオ豆から、最後のラッピングまでハワイ国内で一貫して生産、製造しております。
広大な敷地の一角、元サトウキビ農園だっただけあり散水システムも整っている恵まれた環境にあるロノハナ農園は2009年に拓かれました。

一番若い木で4~5年経っております。
実は研修旅行で伺った5月は、カカオの収穫シーズンは終わっていてほとんど実はなく、この時期に伐採など手入れをして来季に備えているとおっしゃっていました。

農園の奥へと進むとバナナの木がたくさんありました。
バナナの木は一生に1度しか花をつけないので実がなったらその後は伐採し、バナナの葉っぱは発酵させる時の木箱の中に敷くために使っています。シェードツリーとしての役割ではないそうです。

ウィンドブレーカー(風除けの木)として「マホガニー(家具や楽器にも使われる堅~い木です)」というとても背の高い木と、シェードツリー(日除けの木)として「レッドシダー」という木も植えられていました。

背の高く長期的に影が出来る。

赤ちゃんのカカオの実とカカオの花がたくさん付いている木を見せていただきました。これらは11~12月に実になるそうです。

ウィンドブレーカーやシェードツリーの枯葉はそのままにし、土に返し、肥料にするという循環型の考え方を実践されていました。

セネカさんの言葉をそのまま借りると「カカオの木は頭がいいので同じ木に沢山の実がなるが、どの実が上手く成長出来るか自分で判断して、自分で枯れさせる」というのです。

つまり、こういうことです。普通は全てが小ぶりになってしまわないようにある程度育てたい数だけに栄養がいくように人が摘果をして、調整しているようなことを、カカオは自分で考えてやっているというのです。
たくさん花が咲いて実がたくさん生ったとしても、木が自分で判断して栄養が行かなくてもいいもの、大きく育てたいもの、という判断をしているのです。立派なカカオポッドになれるのは一部だけ。セネカさんは木の性格をわかっているからどこの木にどの実がなるかがわかるらしいです。すごい!!

カカオはきれいな赤色をしているものが熟している訳ではなく、皮を指でこそいで皮の下の色を見て判断されます。皮が赤でも黄色でもこそいだ時に下が緑は未熟。下も同じ色ならオッケー!

セネカさんがカカオポッドを木の根元にコンコンと叩きつけて割ってみせてくれました。
ポッドを割った時にカカオの種(豆)の部分がきちんと分かれている。
白い実がたくさん付いているのが透明っぽくなったらオッケー!
「自分たちのスナックでもあるのでそのまま食べちゃう。カカオの果肉はライチのような味がして美味しい」とセネカさん。種の部分は噛むと苦いので周りしか食べません。

カカオの花は開花してから交配出来るのは1日間くらいしかありません。
花の中を覗いてみると、雌しべと雄しべがある間に虫が来たら触れるように滑走路の様になっています。交配を助けてくれるのは「ナット」と呼ばれるコバエの様な?虫がいますが、朝方か夕方しか現れないので今回は残念ながら見ることはできませんでした。
小山シェフ曰く、「マダガスカルでは蚊の一種だと聞いた」とのこと。国によってこういう部分が違っていたりするので面白い。

セネカさんはカカオの実を取るとき丁寧にハサミでカットされていました。
決して手でもぎとらないそうです。何故ならカカオの実は毎年同じ場所に出来るのでそこをきれいに残しているとのこと。これも面白い話です。

カカオは、コーヒーと同じで1本の木の中でも実の熟成度は異なり、何度も何度もまわって熟したものだけを一つ一つ手で収獲していくそうです。

ここのカカオは「アマゾン フォラステロ」 と「ホワイトクリオロ」の2種類。
1890年頃にスペイン人がベネズエラからフィリピンを通ってハワイへ持ち込んだそうです。
セネカさんは、「キアリアファーム」というハワイ島の農園から持ってきたカカオから栽培を始めたそうで、遺伝子なども調べて種から育てたとおっしゃっていました。

親木となるカカオの種からどんどん育て、グラフティング(添え木)をしてどんどん増やしていそうで、農園内のカカオは全て従兄弟だそうです。
よく穫れて美味しい木から増やしながらずっと勉強、調査を続けているとのこと。
自分が育てている木のどれを使ってどんなカカオに育てていくかをリサーチしながら栽培していくことが、楽しみだとおっしゃっていました。

初めのほうに書かせていただいた散水システムですが、この農園がある地域は、標高からいうと雨も少なく、近くに川などの水源もないのでこのシステムが必要だそうです。以前サトウキビ農園だった名残から散水システムが整っていました。

「カカオの木にとってとても恵まれた環境だ」と小山シェフ

この辺り一帯13000ヘクタールの土地が1996年までは全てサトウキビ畑だったそうです。
そんな雑草しかなかったところをカカオが育つような森を創り上げられました。

カカオ農園で何が問題かというと、働く人材の確保だそうです。南米やアフリカなどカカオの産地では子どもを働かせるなどしていることが、問題になっているという話も聞きます。人手が足りないからと言って子どもを働かせるわけにはいかないので人手は常に不足している状態。そんな中で一本一本に対して手入れを行き届かせるためにも必要最低限の農薬は使っているが出来るだけ自然に近いものにしているというセネカさんなりのこだわりが見えました。

木は3~4年経つと枝が出て地面に陽が当たらなくなり、雑草が少なくなるので、雑草の処理の必要が少なくなります。そうすると手入れは少し楽になるとのこと。

さらに進み新しい1年半目の木がたくさんあるところへ移動しました。

カカオは1種類だけではなく何種類か違うところで育てています。そこにはまた別のシェードツリーがありました。

ハワイ農園でよく使われている「ピジョンピー(鳩のエサという意味)」 は南米でもよく使われる木で、短期的ですが影を作ってくれます。あと1年ほど経ってカカオが大きくなったら伐採します。カリブ地域では実をシチューなどに入れて食べるそうです。

「ここの農園で使われているシェードツリーの種類が他の農園と違って面白い」と小山シェフ。

細く長い木は長期にわたって影を作ってくれます。
成長すると枝葉がかなり広がるので大きな影が出来るのです。木の名前は聞き忘れてしまいました。。。

「マンゴーなどがよく使われているがここにはないの?」と小山シェフが聞かれると、「マンゴーの木は枝が折れたり痒くなるので好きではないんです」とセネカさん。

シェードツリーの手入れは何もしなくても、ある程度の高さまで伸びてから枝が伸び始める習性があるのですが、今はまだ真っ直ぐ空に向かって伸びている状態で枝葉が無く、見た目はかなり寂しい木でした。

1~2年後来た時にはここには大きな影が出来るほど、枝葉は広がっているそうです。この見た目からは想像がつきません!

ここで年間を通して一番収獲出来るのは平均して2~3月が収穫期になるが今年は2月が1番カカオが穫れたらしいです。

その年の雨期の始まる時期によって実のなり方は変わってきます。昔は、冬は雨期、春から夏は乾期、とはっきりとわかれていましたが、特にこの5年くらいで温暖化の影響もあり天候が変わってきており、偏西風も減って来ているそうです。
偏西風は、人は心地よく感じますが、カカオにとってはそうでもないようで、湿気を含んだ生暖かい風の方が良いとのこと。他にもハワイでは南風(コナ・ウィンドと呼ぶそうです)が吹き、それに乗って火山灰が吹いてくる日が多いそうで、それによって花粉症のような症状が出る人もいるそうです。

5月頃の気温はカカオにとっては寒い温度らしいのですが、この日は日差しも強く、だいたい30度くらいはあったように思いました。

最後にカカオの試食。

カカオポッドを割らせていただきました。

木に打ちつけて割ります。現地ならでは!!

中から出てきた白い果肉に覆われた種を口の中に入れてコロコロと舌の上で転がします。「ライチやマンゴスチンのような味わい」と小山シェフはよく表現されます。

前述したように、果肉の部分だけを食べて種は吐き捨てます。種=カカオ豆のことですが、一般的にはポリフェノールを多く含んだ紫色が多く見られ、噛めば苦いです。

ここでは、吐き捨てられた種は野ネズミが食べに来ます。この農園には野ブタが出るそうですが、カカオの実は食べません。南米では動物達にカカオを食べられたりすることもあるのだとか。
木の根元付近には野ブタが身体を擦り付けた跡がありました。

カカオポッドは赤と黄色の2種類を割っていただき、食べ比べてみました。

黄色い方はアマゾンフォラステロ種、赤い方はホワイトクリオロ。フォラステロは中が濃い紫色。中の色を見ることで品種がわかります。

昨年に続き、ベトナム、ハワイとカカオの産地に行かせて頂き、国や地方、気候によってカカオの育て方が違うことに面白さを感じました。
日本ではカカオを食べる機会がないのですが、産地に行き、目で見て、口に入れた時の感動をこれからたくさんの人に伝えていき、もっとカカオについて勉強していきます。
最後までご覧いただき有り難うございました。

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