1.小山シェフの旅~パリ・ベルギーから得るインスピレーション~2006.5.30(パリ)バカラ美術館~ルイ・ヴィトン本店~プラザアテネ
毒を持つような黒いシャンデリアに新しいギフトサロンを思う

海外に来ると、私は早起きをしてよく歩きます。今朝も6時に起きて1時間歩き、ブーランジェリーやパティスリーでキッシュやタルトを食べてきました。
さて。本日最初の目的地は「バカラ美術館」です。ガラスの芸術が並ぶこの美術館は内装や店内の仕掛けがおもしろく、私が好んで通うスポットの1つです。なかでも目をひいたのは黒いシャンデリア。ドラキュラのように、毒さえ持つようなあの色気のある美しさ。毒気であり、ラグジュアリーな空気を醸しています。実は今回の訪問目的は、来年2月にオープンするギフトサロンのヒントを探すことでした。"あの黒いシャンデリアが、ギフトサロンの天を飾ったら…。でも、天井が低すぎて無理かなあ…"。頭の中でイメージがむずがゆく膨らむのを感じながら、ひとまず美術館を後にしました。
続いて向かったのは、製菓道具店「モラ」。スタッフたちの買い物の間に、私は周辺をぐるりと歩きます。今度は、頭にあるのは、同じく2月に始めるブーランジェリーのこと。スタイリッシュな赤か、愛らしい赤にすべきか…。自動車のショールームから文房具店まで、ありとあらゆる業種のショーウインドウを見て歩くのが、店作りに関する絶好の参考資料になります。とくにフランスでは、各社でテーマを明確に打ち出した表現がなされていて、"なるほど! そういう表現方法があったか"と、多いに勉強になるのです。
私のお店作りを振り返ってみれば、「これを絶対に使いたい!」という"何か"に1つ出会えれば、すべてがハイスピードで動き出してきました。「エス・コヤマ」なら焼き菓子を並べている巨大な丸太。ガーデンなら胴の人形。「キャトリエンムショコラ・進」ならブロンズ製の女性のオブジェ。照明でも家具でも何でもよいのですが、それが見つかるまで、私は探し続けます。


プラザ・アテネ、ルイ・ヴィトン一流の空間で何を感じるか

そして次は、ホテル「プラザ・アテネ」です。こちらのお菓子部門のシェフ・パティシエは、2005年にお菓子のワールドカップ「クープ・ド・モンド」の優勝を経験しているクリストフ・ミシャラク氏。彼は神戸・元町のパティスリー「グレゴリ-・コレ」がオープンした時にセコンドとして腕をふるった人物でもあり、私は彼のお菓子やヴィエノワズリーが好きで当時何度も通いました。さっそく、ピーチメルバ味のマカロンなどお菓子数個を買って公園で広げました。ケーキ4個とマカロン数個で約¥7000という高級さ! しかし、その価値は空間、味わいの中に確かにありました。
その後はシャンゼリゼ通りのルイ・ヴィトン本店へ。ここでも見たのはやはり内装・演出です。いったい、一流がどういう演出をしているのだろうか、と。
こうして自分の中に新しい空気を入れたい時に、私はよく一流にふれます。
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それは「今、この人が世界一ということは、この道の"頂上"はこの人なんだ」と理解できるからです。頂上に到達できる力があるかどうかは別として、"頂上が見える"と気が楽になりませんか? 私は“頂上”、すなわち“ゴール”の見えないマラソンは苦手なんです。常に目標を定めて邁進していきたいのです。


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