Vol.11
18.5.20 (3/4ページ)

4日目:「etxebarri」でのランチ

バターとともにバケットが運ばれてきました。バターと言っても普通のよりも真っ白な色をしており、これはヤギのミルクで作られたバターでした。常温で柔らかくなるほどのなめらかさで、口の中でスッととけます。コクのある風味と塩気が絶妙で、料理が来る前にパクパク食べていると、シェフは「バケットは薪焼きでリベイクしたほうがもっとおいしくなるのでは」とおっしゃっていました。


バケットを頂きながらここでの話題は、2日間お世話になったMOFパティシエのティエリー・バマス氏のお話に。
(パティシエ旅行記Vol.7:https://www.es-koyama.com/travel/2018/vol.007/


数時間前、シェフの中で歴代最高傑作である今年のチョコレートをバマス氏が召し上がり、ショコラについて熱く語り合う一幕がありました。バマス氏は「美味しいショコラを創るショコラティエは沢山いるが、面白いショコラを創るショコラティエにはなかなか出会えない。だが彼のショコラには毎回驚かされるし、楽しませてくれる」とおっしゃって、小山シェフのショコラを絶賛されていました。
その時のお話からシェフはバマス氏について、こうおっしゃっていました。「フランスにいるショコラティエの中では、他人のショコラを賞賛や評価をするような方はなかなか出会ったことはなかった。でも、バマス氏は自身が感じたことを素直に伝え、良いものは良いとハッキリ言い、人がどう思うかなど関係なく周りにも『彼のショコラはすごい』と伝えるような勇気を持った人格者だ」


またバマス氏はこうもおっしゃっていました。
「着眼点が違うからこそ、ショコラ一つ一つにストーリーが生まれる」
それについてシェフは、「僕はいつも自分の伝えたいことや感じたことをもとにショコラのコンセプトを創る。そうして進む方向性を明確にして"モノづくり"をしていくと、自分と同じ感覚を持ったアーティストたちが自分のショコラのコンセプトに共感し、『このショコラとコンセプトで曲が出来ますよ!』と音楽として発信しようと、自然と周りに集まってくる。」現代では何が流行っているのかをリサーチし、そこに合わせて作品を創ってしまう人が多い世の中になっている。しかしそうではなく、"自分の感じたことを作品にする"それも決して自分の好き勝手に創作すればいいわけではなく、その切り口が世の中に"面白い"とウケるのか、それがなにより大切なことだ。」
「今の世の中で何が起きているのかが目に見える地上と地下一階を行き来するだけではなく、それより深く掘り下げた地下二階のオリジナリティーの世界を表現するからこそ、あのようなショコラが生まれる。」 「一大ムーブメントを湧き起こすような名曲を生み出すミュージシャンの方たちは皆、同じ考え方で"モノづくり"をされているのではないか、と僕はそう思う」


熱意のあるお話を聞いているとまた次の料理が運ばれてきました。

写真の左から「Buffalo fresh cheese」
あっさりとした水牛のチーズにバジルとトマトが乗ったもの。
真ん中はホワイトアスパラにマッシュルームとウォータークレスが乗っており、ほのかに炭の香りながらもフレッシュ感が残っており、アスパラの味そのものの味を楽しめました。

右は「Prawns」。シェフも過去訪問したスタッフも「これはうまい」などとおっしゃっていたので私も楽しみにしておりました。
スペインのパラモースで獲れたエビをシンプルに薪で焼いたもの。じっくり火を通すからこそ、身はプリっとジューシーで旨味が凝縮されていました。ミソの部分の苦みも初めておいしいと思い、もっと食べたかったです。

そして料理も中盤に入り、赤ワインを頂きました。研修旅行2日目に習った赤ワインのテイスティングを早速実践してみました。赤ワインは背景が白くなっているところに少し傾け色をチェックします。このワインは、少し赤みがかった赤なので熟成されたブドウで造られており、もし紫のような赤だと若いブドウで造られたということになります。ちなみに白ワインは光にかざし色のチェックをしますので、みなさんもぜひ試してみてください。


続けて、メインまでの6品を続けて紹介します。

左から「Sea cucumber & broad beans」
"なまこ"にトロっとしたソースと涙豆を添えたもの。なまこのコリコリとした歯ごたえとトロっとしたソースがからまり、おいしかったです。

「Scrambled eggs & local mushrooms 」
厚めにカットしたマッシュルームに時間をかけてじっくり火を通した濃厚な卵がかかっています。

「Cod kokotxa」
ゴールドフィッシュ(金魚)に少しスパイシーでなめらかなソースをかけたもの。

「Anchuvies & wild flowers, leaves and pickled」
いわしとピクルスにした花や葉を添えたもの。イワシがふっくらしていて、お米を思い出させる食感でした。

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