現在、エスコヤマのお庭を担当して下さっている庭師M(松下裕崇さま)のアシスタントスタッフを募集しております!ご興味のある方は下記の連絡先までお問い合わせくださいませ。
090-8520-8640(庭師:松下裕崇)
「長旅ご苦労様でした。早速ですがホテルに向かいましょう。そして、とりあえず、シャワーを浴びられてリフレッシュしてください。お疲れでしょう。」と小方さん。確かに、日本からコロンビア、移動だけでも相当ハードでした。
挨拶も早々に、空港から車でホテルへ向かいます。車で移動中、今日のスケジュールについて説明をしていただきました。
「今日は到着したばかりで申し訳ありませんが、早速山登りをしていただきます。シエラネバダ山脈の西側の山裾にある小さな集落まで歩いて1時間程だとおもいます。まずはそこのカカオを見て頂きます。」
今回の旅のスケジュールはかなりタイト。せっかくコロンビアまできたわけだし、出来るだけ沢山のカカオを見て、カカオを味わってほしい、と小方さんが特別に沢山の産地巡りのプランを用意してくれました。
ホテルに付いて荷物を預け、シャワーを浴びて、早速出発です。
今日は総勢8人。カカオ・デ・コロンビアから小方さん。小方さんの右腕のナチョさん、農業技術指導員のギジョさん。運転手さんにコロンビア側のカメラマン。そして、我々はコヤマシェフ、石丸さん、そして、私、松下です。
車で揺られて2時間程。途中まではきれいな道でしたが、山に入って道が悪くなってきたんでしょうね。
だんだん車の揺れが大きくなってきました。
車で行ける所まで行き、そこからは山登りです。車を降りるとすぐにインディヘナ(原住民)らしき男性がいました。「アルワコ族の人ですよ。」と小方さんが早速挨拶をしてました。
手にはひょうたんに駒をくっ付けたようなものを持っていて、
何かを口の中に入れて噛み続けています。
インターネットで得た情報のおかげ、つい「コカ」という言葉だけで反応してビビってしまいました。
山の中はいろいろな植物が生えている豊かな森でした。
「今までの産地とは全然違うな。」とコヤマシェフが感慨深そうにあたりを見回しています。この7月コヤマシェフと写真家の石丸さんはインドネシアのスマトラ島に行ってきたばかりです。その景色の違いに驚いている様子でした。
山道を1時間程歩いたでしょうか、急峻な下り坂の途中に小さな家があり、その周りにカカオの木がありました。
この辺りで400本ぐらいのカカオが植わっているそうですが、山の中で全貌がつかめません。
カカオを見つけるやいなや、石丸さんがシャッターを切ります。撮った写真をコヤマシェフと確認しながら、首をかしげています。
「今までの写真と何か違う。なんだろう、奥行きがすごい。」二人とも驚きが隠せない様子です。確かに、ここは今までのカカオ農園とは全く違います。
「これは農園というよりも山の中に自然にカカオが生えている感じやな。これが本来の姿、ってことなんかな。」
少し山の中を移動して次の農家さんのお家にお伺いすると、そこには樹齢60年のカカオがありました。プランテーションの場合、通常25年から30年で生産の寿命を終えるカカオの木ですが、ここには60歳のカカオがいまだにカカオの実をつけています。
もちろんですが、他の産地ではそんなに古いカカオの木を見た事はありませんが、この環境なら納得が行きます。この時思い出したのは、奇跡のリンゴの木村さんの話でした。以前コヤマシェフと木村さんが会食をする機会があった時に私も同行させていただきました。その時に聞いた木村さんの果樹園の作り方とここのカカオはよく似ているように思えました。実際に木村さんの農園に行って見た事はありませんが、恐らく同じようなことが土の中でおこっているように思えました。
もうしばらく歩くとまた別の農家さんがあります。そこには少し大きな家族が住んでおり、雰囲気のよい土の壁の家がありました。ここにも古いカカオの木があって、古い木舟の中でカカオを発酵させていました。
1日目からかなり刺激的なカカオとの出会いがあり、つい夢中になっていると、「遅くなりましたが、近くの農家さんが昼食を用意していますので、そちらに向かいましょうか?」と小方さんが声をかけてくれました。
「お、昼食!」と急に元気になる私。産地を訪れた時の楽しみの一つは間違いなく食事。特に農家の方が作ってくれるものは今まで外れた事がないように思います。
この日のお昼はサンコッチョと呼ばれる地鶏でだしをとったスープと地鶏のもも肉とキャッサバ、食用バナナなどのプレート。プレートの地鶏はスープのだしを取った後のものですが、だしを取ったあとの鳥にも関わらず身がしっかりしてしかも、鳥自体の味が濃い。「農家さんの家で頂くサンコッチョは薪で調理しているので少しスモーキーな香りがなんとも言えないですよね。田舎ならではですね。
鳥にかかっているソースはクリオロソースと言って、『クリオロ』とは『地元の・その土地の』という意味があるんです。」と小方さんが教えてくれました。スープも鳥も本当に美味しいしかったです。デザートにはボッカディージョと呼ばれるパート・ド・フリュイのようなお菓子を頂きました。
時間が経つのが早く、あたりが暗くなる前に帰路につかなければなりません。暗くなって運転できるような道ではありませんので、今日はこのへんでホテルに戻る事になりました。
ホテルに戻るとパーティーの準備がされていたので、理由を尋ねるとたまたまその日はコロンビアのバレンタインデーでした。コロンビアではバレンタインデーは友人や恋人に感謝を伝える大事な日だそうです。
その日の夜はコロンビア産のウィスキーとラテンミュージックで今回の旅の安全を祈ってみんなで祝杯をあげました。