vol.30
「マダガスカルに行くぞ」
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2日目の朝、チョコレート工場に向かいました。ホテルから車で30分は走ったと思いますが、その移動中に市場の前を通りました。この国の市場は何とも活気があります。貧しい国とはいえ、人に活気がある。市場にも道路にもたくさん人がいます。大人も子供も、女性も男性も、お年寄りもごちゃまぜになって市場にいます。

よく見ると、「いったいこの人は何をしているのだろう?」という人もたくさんいるのですが、日本にはないエネルギーがあります。しかし、それは一生懸命働こう、というものでもありません。はっきり言って、あんまり人が一生懸命働いている印象はありません。何をするにしても、仕事の割に人数が多く、「その仕事にそんなに人数は必要ないだろう。」というシーンをよく見かけました。たくさんでよってたかって仕事をする割に、仕事はのんびりしています。

 マダガスカルの人口はおおよそ6000万人だそうです。 戸籍が曖昧なため、実際の人口を把握できないそうですが、特に、田舎の方はよくわからないそうですが、その辺がいかにもマダガスカルらしい感覚です。いくら経済力があるとはいえ日本はこんな活気はありません。東京はたくさん人がいますが、あまり小さい子供やお年寄りまでがごちゃ混ぜにいる所は見かけません。市場をみる度にこの活気を感じるのが不思議で仕方ありませんでした。

 チョコレート工場に着くと、まずは応接室のような場所に通されました。何となく、チョコレート工事という響きは、人をわくわくさせます。「チャーリーとチョコレート工場」のせいだと思うのですが、どうにも、期待させる響きがありますが、案外普通の工場でした。しかし、一つだけ本当に驚いたことがありました。それは、応接室のような所に通された時のことです。そこに、工場の責任者とチョコレート製造のテクニカルマネージャーのような方がいらっしゃったのですが、そのテクニカルマネージャーの方がコヤマシェフのことを知っている、というのです。ここはマダガスカルです。いくらなんでも、それはあり得ません。しかし、本当に彼はコヤマシェフのことを知っているし、出会っているのです。

実は彼は昨年のパリのサロンドショコラを訪れたいたのでした。そして、そこで、コヤマシェフのブースでシェフと出会ったらしく、とてもチョコがおいしくて全種類食べたと言っていました。ワールドワイドな話です。工場の方も、こちら側もやたらにテンションがあがって意気投合。「よっしゃよっしゃ、わしらの自慢の工場を見てゆけ」と時間が無い中、急ぎ足で工場中を見せていただきました。

そのあと、2kgの原チョコを3つほどお土産に渡されました。それはマダガスカルカカオ独特の酸味の効いたとてもおいしいチョコレートでした。「今年も、また、パリで会いましょう。」と言ってその工場を後にしました。

 「チョコレートは世界をつなぐ共通の言語のようなものだと思います。」とコヤマシェフが昔どこかで話をしていたのを思い出しました。確かに、こうしてマダガスカルでもチョコレートを通じてコミュニケーションが出来るのです。何が、おいしい、どんなチョコレートを自分は作りたいか?マダガスカル語は全くわかりませんが、チョコレートがあれば言葉を超えてコミュニケーションが出来るのですね。今回の旅の中、マダガスカル人と言葉を超えてつながった最初の瞬間でした。

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更新日12.10.16


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