20.11.13 (3/4ページ)
Vol.14

NEXT ACTION!~パティシエは木を植える~

6度目の絶滅期とビートルくん

さて、少し話のスケールが大きくなるが、地球上の生物は過去5億年の間に、気候の激変や巨大隕石の落下によって5度の絶滅期を経験しているという調査結果がある。 そして今、6度目の絶滅期の只中にあると言われている。 人類も例外ではない。 しかも、その原因は人間の活動によるものだ。


国連主催の政府間組織から、人間による野生動物の乱獲、生息地の搾取、大気汚染、有毒物質の使用などによって、100万種類の動植物が絶滅の危機に瀕しているというレポートが発表されている。 皮肉なことに人類は自分で自分の首を絞めているのだ。


新型コロナウイルスは、自分の身に危険が及ぶ可能性があるのははっきりイメージできるが、この絶滅期に入っているどうこうというのは手に取って確認することができない。 「まさか、そんなことはないだろう」と思いたくなる。 だから、誰かが声を大にして言い続けないと仕方がない。


昨年僕は、『ビートルくんときんいろのバウム』(フレーベル館)という絵本を出した。 話は単に「カブトムシが薪ストーブにされた話」でもない。 そこには、昆虫たちが世界中で減少していること、彼らの営みが無ければ果物などの作物も実らないことを知ってほしい、そういう身近な世界に目を向けてほしいという思いを込めた。

遠い未来の話ではなく、今の自分の話

多くの種の絶滅を招いた人類はあまりにもツケを溜めすぎてしまった。 人類全体でその責任を負い、ツケを払っていかなければ地球上の生物に未来はない。 しかし、ここで「人類」という言葉で一括りにしてしまうと、例えば、「世界が、国が、大きく政策を変えなければ実現できないことだ」という勘違いが起きてしまう可能性がある。


「生物の絶滅」というスケールの大きなことを言ったが、結局は一人一人が日常の中で意識してプラスチックを使わない、節水をする、節電をするといったことに具体的に取り組むしかないと僕は思っている。


この話は、うちのスタッフにも当てはまる。スタッフのなかには「10年後の自分」という未来の自分を心配している子がいるのだが、その子の今日一日はどうだったかというと、具体的に一歩を踏み出せていなかったりする。


今日の一日が未来の自分に繋がっている実感があれば、その子の一日は生き生きとしたものになるはずだが、そう上手くはいかない。 別に具体的な目標を立てなくても一日は過ぎてゆく。 今日の生き方をしっかりしないと、自分の未来は良いところに着地しない。 心配だ心配だと言うだけでは世界は変わらない。


要は「自分が今、具体的にどう動くか」。 できるだけ人から重宝がられ、人に認められてやがて自分のクリエイトを発表する時に、多くのファンが賛同してくれるような皆になってほしいし、その人の正しい考え方に賛同する人がたくさん出てきてくれることによって、世の中が正しい方向に大きく動くような、それを導く人になってほしい。


勇気をもって、正しいことを伝え続けてほしい。 自分が今本当にできることを、ツケをためずにやってほしい。 僕も含めてスタッフの皆も、世の中も。

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