20.11.13 (4/4ページ)
Vol.14

NEXT ACTION!~パティシエは木を植える~

自然を求めて

小山流バウムクーヘンの物語にも書いているが、僕は、毎年一本お庭に木を植え続けている。 それを見られたお客様が、家でも木を植えたいと思っていただけるような、そういったお店にしていくことが僕の理想だ。


温暖化の原因になっている二酸化炭素の量を減らすには、高額な機械を導入して何かするのではなく、「木を植える」ということが一番だという。 それは皆が具体的にできることの一つだと思うし、植えたからにはその木を大事にする。


その木にいろいろな昆虫がいろいろな役割を持ってやってくるということまで、お菓子を通じて発信したいと思ったから、ビートルくんの物語も書いた。


僕は三田で、朝昼夕方、雨降りの日や、そういう時の土や緑の香りを季節ごとに感じながら創作ができている。 そういうところが、まさしく人間が本来求めている場所であり、これからますます求められるようになると僕は感じている。 そういった時代の追い風を感じた時、自然豊かな三田で創作し、三田で生きることの意味をすごくポジティブ捉えられた。

エスコヤマは、もちろんお菓子を買いに来ていただく場所ではあるけれども、明日からの自分の生き方や、自分の目標であったり理想であったり夢であったり、そういったものを何か感じていただけるようなお店にしたい。 17年間やってきたが、その思いが一番伝わるのは、ひょっとしたら今じゃないか。


僕がなぜ三田を選んだのか、なぜ庭付きのお店をしたかったのか、ということが今だったら、今だからこそ、伝わるかもしれない。 自分が今まで自然体でやってきたことが、少し遅れてではあるけれども、世の人々の意識のなかには、確実に入ってきているだろう。


――そんな、エスコヤマの歴史上で一番「今、自分が成すべきことは何か」を真剣に、具体的に、深く考え続けるなかでも、僕はこの三田の地で自然からたくさんの恩恵をいただきながら創作を続けている。


この冬も、新しく誕生した「小山チーズ~マロン~」をはじめたくさんの冬のギフトアイテムを皆さまにお届けしたいと思っている。



小山 進

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