21.05.20 (2/6ページ)
Vol.16

持続可能なモノづくり
~What is the true meaning of sustainable?~
サステイナブルの真の意味とは?

「奏」はシンプルなチョコレートサンド。 レシピの美しさ、配合の妙が成せる絶妙な食感と口どけや味わいはオープン当初からもっと世の中に正しく伝えたいなと思っていた。 「円」もシンプルなサブレのミルクチョコレートがけだが、サブレにしてもチョコレートにしてもやわらかさといい味といい、絶妙なバランスを追求し、とことん試作して生まれたものだ。


ある同業の方がこれらのお菓子を食べてこう評してくれた。 「小山さんのお菓子って、シンプルなんですけど、奥深いですよね」。 チョコレート菓子の中で「奏」と「円」がまさしくその代表。 「シンプルで飽きの来ない、老若男女誰もが味わって美味しいと感じる味」とはそういうものだと思ってモノづくりをしてきたので、お菓子を通してそれが伝わることは何よりもうれしい。

新しいテーマに込めたメッセージ

僕はここ1、2年で、「社会性のあるモノづくり」という言葉が頭から離れなくなっている。 とある音楽家の方がよく口にされる「社会性」という言葉と、僕自身がよく口にしている「モノづくり」という言葉がくっついて生まれた言葉だ。 あまり言葉として考えていなかったので意識はしていなかったが、よくよく考えると、僕のCHOCOLOGYシリーズのテーマは、特に2016年以降、社会へのメッセージとも読み取れるテーマになっているように思う。


「2016年Human~coexist with nature(自然と共に)~」「2017年DISCOVERY~終わりなきカカオ探求の旅~」「2018年What A Wonderful World~限りある生命 儚さを閉じ込めて~」「2019年MELLOW 緑から赤へ 鏡の中の物語」、そして、2020年にコロナ禍で浮かんだテーマが「ALIVE~生きるということ~」だった。


今まで自然に浮かんできたことだったが、むしろ「そうあるべき」という思いが最近特に大きくなっている。 そうして「社会へのメッセージ」という意味を持つようになったショコラ創作のテーマだが、今回はテーマが先に浮かんだ。 いつもなら創作の過程で出会った素材にまつわるエピソードを紐解きながら、試作・試食を繰り返しつつ、そこで感じたことや、「今世の中に発信しなければならないメッセージは何か」と考えていたら徐々に見えてくる、という流れなので、先にテーマが決まるのは異例だ。


そうして生まれたテーマは、急ぎ足の世の中に対して「ちょっと戻ろう」というメッセージを込めたものにしようと思っている。 そして、作品に込めるのは、いつもアンテナにビビビッとくる素晴らしい、力強い素材を提供してくださる方々への「感謝」の思いだ。


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